001:Windows Mobile開発環境の構築

はじめに
Windows Mobile 開発の入門記事です。C++とWin32APIについて理解を深めていきます。
対象読者 C,C++の基礎的な知識を持っていてWindowsMobileで高速なアプリを開発したい方が本稿の対象読者です。
ソフトバンクモバイルやドコモからもWindowsMobile搭載携帯電話が発売されるなど、WindowsMobileによる開発者は増えていくものと予測されます。
部品を張り付けて部品の設定や部品間の関係を指定することでアプリケーションソフトを開発する近年のRADツール開発しか経験の無い開発者にとってWin32APIによる開発は敷居の高いものです。
本稿ではC/C++とWin32APIを使用したネイティブアプリケーションによる高速なソフトウェの開発を説明します。
Win32APIの説明と同時に、WindowsMobile特有の機能についてもサンプルを交えながら検証していきます。
開発言語
Windows Mobileの開発にはC++を使った開発と.NET Compact Frameworkを使った開発があります。
C++での開発は「ネイティブ開発」と呼ばれ、Win32 AIPを駆使してプログラミングを行います。
一般的に開発の工数は増えますが、リソースの消費が少なく、高速に動作するプログラムが作成できます
.NET Compact Frameworkでの開発は、C#VB.NETを使用して開発することができます。
こちらはRADな開発環境によりスピーディに開発を行うことができますが、作成したプログラムの起動が遅いなどのデメリットがあります。業務アプリケーション作成に向いていますね。
私はいろいろなフリーソフト等を使ってみましたがやはり.NET Compact Frameworkで作られたソフトの起動の遅さにはいらいらさせられます。本稿ではC++とWin32APIを使用して高速なプログラムを開発したいと思います。
導入
まずは環境を構築しましょう。
必ず必要になるのが以下のソフトウェアです。
Microsoft Visual Studio 2005 Standard
または
Microsoft Visual Studio 2008 Professional
WindowsMobileの開発はVisual Studio 2005 であれば比較的安価なStandard版で開発できますが、Visual Studio 2008 よりProfessionalからの対応となっています。
Visual Studio 2005 Standard はアップグレード版で推定小売価格19,800円前後、それに対しVisual Studio 2008 Professionalはアップグレード版でも64,800円とかなり高価です
個人でフリーソフト等を作りたい方にとってはちょっと敷居が高すぎますね。
Visual Studio 2005 Standard の販売は既に終了しているので、入手できるうちに入手しておきましょう
私はアップグレードの対象製品を持っていたので、Visual Studio 2005 Standard のアップグレード版を購入しました。
Microsoft Visual Studio 2005 Standardを基本に説明していきます。2008の場合も基本的に違いはありません。
そのほか、WindowsMobileのSDKと、エミュレータのイメージが必要です。これらはマイクロソフトより無償提供されていますのでダウンロードしてインストールします。
■インストール手順
Microsoft Visual Studio 2005 Standard(またはMicrosoft Visual Studio 2008 Professional)をインストール
Microsoft Visual Studio 2005 SP1をインストール
Microsoft Updateを使用して、SP1をインストールすることが出来ます。
Microsoftから、WindowsMobileの開発環境をダウンロードしてインストールします。
以下の順序でインストールしていきます。
Microsoft ActiveSync 4.5日本語版
開発用PCとWindowsMobile間で通信するために必要です。現時点での最新版は4.5です。
※WindowsVistaをお使いの方は、ActiveSyncではなく、「WindowsMobileデバイスセンター」をインストールします。
http://www.microsoft.com/downloads/details.aspx?displaylang=ja&FamilyID=9E641C34-6F7F-404D-A04B-DC09F8141141
Windows Mobile 5.0 Pocket PC SDK
Windows Mobile 開発に必要なSDKをインストールします。
http://www.microsoft.com/downloads/details.aspx?FamilyID=83a52af2-f524-4ec5-9155-717cbe5d25ed&DisplayLang=en
Windows Mobile 5.0 Emulator Images for Pocket PC – JPN
開発用PCでWindowsMobile5の動作をエミューレーションするために必要です。各国語版があるので日本語版をダウンロード、インストールします。
http://www.microsoft.com/downloads/details.aspx?FamilyID=eec33ae3-c129-4c25-abaa-18e8e842178f&DisplayLang=en
・.NET Compact Framework 3.5
PC 用の.NET Framework とは別です。.NET Frameworkの「サブセット」になります。
モバイル機器向けに.NET Framework機能を限定したものです。
Windows Mobile 6 SDK のインストールに必須です。
http://www.microsoft.com/downloads/details.aspx?FamilyID=e3821449-3c6b-42f1-9fd9-0041345b3385&displayLang=ja
Windows Mobile 6 Professional SDK Refresh
Windows Mobile 6 SDKにはProfessionalとStandardがあります。ターゲットデバイスにより必要なほうをインストールします。ProfessionalがAdvanced W-ZERO3[es]などの、タッチパネルを持ったWM機になります。
ProfessionalとStandardの両方入れておいても別に問題ないので、どちらも入れておくことにします。
http://www.microsoft.com/downloads/details.aspx?FamilyID=06111a3a-a651-4745-88ef-3d48091a390b&DisplayLang=en
Windows Mobile 6 Professional Images (JPN)
開発用PCでWindows Mobile 6 Professionalの動作をエミューレーションするために必要です。
http://www.microsoft.com/downloads/details.aspx?FamilyID=38c46aa8-1dd7-426f-a913-4f370a65a582&DisplayLang=en
Windows Mobile 6 Standard SDK Refresh
Standardはタッチパネルを持たず、よりケータイライクなバージョンです。
国内ではソフトバンクX02HTに搭載されていますね。
http://www.microsoft.com/downloads/details.aspx?FamilyID=06111a3a-a651-4745-88ef-3d48091a390b&DisplayLang=en
Windows Mobile 6 Standard Images (JPN)
開発用PCでWindows Mobile 6 Standardの動作をエミューレーションするために必要です。
http://www.microsoft.com/downloads/details.aspx?FamilyID=38c46aa8-1dd7-426f-a913-4f370a65a582&DisplayLang=en
・デバイスエミュレータ2.0(日本語版)
Visual Studio 2005には 英語版が付属していますが、日本語版をインストールすることでデバイスエミュレータを日本語で利用できます。英語版でも不都合はありませんが、日本語が良いという方はインストールしてください。
Visual Studio 2008 Professionalの方は3.0がすでにインストールされているので不要です。
※デバイスエミュレータ3.0がリリースされています。後述の3.0をインストールする場合2.0のインストールは不要です。
http://www.microsoft.com/downloads/details.aspx?displaylang=ja&FamilyID=dd567053-f231-4a64-a648-fea5e7061303
・デバイスエミュレータ3.0(日本語版)
Visual Studio2008に付属しているDevice Emulator 3.0をVisual Studio 2005でも利用できるようになりました。これをインストールすると既にデバイスエミュレータがインストールされている場合3.0に置き換わります。
http://www.microsoft.com/downloads/details.aspx?FamilyID=a6f6adaf-12e3-4b2f-a394-356e2c2fb114&DisplayLang=ja
これで開発環境の準備はOKです。早速Microsoft Visual Studio 2005を起動してみたいところですが・・・
今日はここまでです。

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