2025年秋のThe Android Showでは、Android Studio の Gemini の新しいエージェント、オンデバイスAI API、 Android XR デバイスが紹介されました。
具体的には、Gemini Nanoを利用したオンデバイスAI機能や、Android StudioのAgent Modeによる開発者の生産性向上、そしてJetpack ComposeとJetpack Navigation 3を用いた適応型UI開発戦略が紹介されています。また、新しいAndroid XRプラットフォームと、開発者がよりスムーズにアプリを構築・運用できるよう支援するGoogle Play Consoleの改善点についても説明されています。
Android StudioにおけるAI（GeminiエージェントとLLM Studio）
Android StudioのAIモデルの柔軟性 Android Studioでは、エージェントモードと呼ばれる機能が導入され、自然言語で複雑な目標を記述し、エージェントがプロジェクト内の複数のファイルに対する変更を計画し実行できるようになりました。Android StudioのエージェントAI機能に開発者が選択した任意のモデルを持ち込む機能と柔軟性が提供されています。
ローカルモデルのサポート: LLM Studioを介して、ローカルPCにインストールされているAIモデルを追加できます。デモでは、LlamaやGPT OSS 200億パラメータモデルが使用されていました。
もちろん、リモートモデルのサポート: Claude（HaikuやSonnet） や OpenAI（GPT-5） など、数十、あるいは数百のモデルを選択できるリモートモデルプロバイダーを追加することも可能です。
「独自のモデルを持ち込む (Bring your own model)」機能を使用する場合、ソースファイルがGoogleに送信されることはなく、プロバイダーに直接送られるため、プライバシー上の懸念がないということです。
オンデバイスAI API（Gemini NanoとML Kit Prompt API）
Gemini Nanoの利点 Gemini Nanoは、オンデバイスのタスク向けに最も効率的なモデルでありモバイルデバイス上で直接実行されます。これにより、低遅延の応答とデータのプライバシーが実現できます。全ての推論がローカルで実行されるため、追加のクラウド費用が発生しないという優れたコスト効率も提供されます。
ML Kit Prompt API I/OでGenAI APIが導入されましたが、現在はGemini Nanoモデルの出力を完全に柔軟に形成できるように進化しています。新しいプロンプトAPIに任意のプロンプトを渡すことができ、テキストと画像の両方の入力（マルチモーダル機能）をサポートしています。これにより、画像理解、コンテンツのセンチメント分析、クリエイティブな文章作成支援など、革新的な機能をアプリに簡単に組み込むことが可能です
開発のためのGemma 3n プロトタイピングの初期段階では、Gemma 3nモデルの使用が推奨されています。これは、最新のGemini Nanoと全く同じアーキテクチャを持つオープンモデルとしてリリースされており、非常に類似した出力が得られるため、Gemini Nanoでのプロトタイピングが大幅に容易になります。
Android XRデバイスとプラットフォーム
Galaxy XRの発売 ユーザーの要約の通り、Samsungと提携して、新しいAndroid XRデバイスの第一弾であるGalaxy XRヘッドセットが発売されました。これはAndroid XRプラットフォームで利用可能となる最初のデバイスです。
慣れたツール群の活用 Android XRは、使い慣れたAndroidフレームワーク上に構築されているため、開発者はAndroid StudioやJetpack Composeといった同じ馴染みのあるツールを活用できます。既存のコードベースを活用し、追加のAPIと機能で拡張することが可能です。アプリを適応的に構築していれば、既にAndroid XR向けに構築していることになります。Android XRの機能を最大限に活用するには、Jetpack XR SDKを使用できます。
詳しい情報はXRのサイトに記載されています。
https://developer.android.com/xr?hl=ja
Jetpack Navigation 3 (Nav3)
Composeステートによる再構築 新しいJetpack Navigation 3ライブラリはベータ版で提供されており、このアダプティブ戦略の要石です。これは、Composeステートを基礎的な構成要素として、ゼロから完全にComposeに焦点を当てて再構築されました。
Nav3は、最初から完全に互換性があり、高度なアニメーション機能のサポートを持ち、完全にアダプティブです。これにより、複数のコンテンツを同時に画面に表示できます。
この再構築されたアプローチにより、ライブラリは非常に使いやすく柔軟になり、開発者がバックスタックを所有し、Nav3がその状態の変化に反応するようになっています。これにより、開発者はデフォルトで予測型バックジェスチャのサポートや、簡単なコードで高度なアニメーションのカスタマイズが可能になります。